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文房具店の探訪、あるいは堪能~文具自分紀行・その4

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文房具店の探訪、あるいは堪能~文具自分紀行・その4
文房具店の探訪、あるいは堪能~文具自分紀行・その4 全 5 枚 拡大写真
◆本番はここから! じっくりコースはまだまだ続く

 さあ、お待たせして申しわけなかった。ようやく棚に移ろう。あ、こっちにも専用什器が置いてあったりするので、くれぐれもお見逃しのないよう注意しながら、通路を進んでいただきたい。

 棚を見るときにチェックしたいのは、各アイテムの品ぞろえである。まず、各カテゴリには商品名がそのままカテゴリの代名詞になっているような「定番品」がある。コクヨの「キャンパスノート」、ゼブラの「マッキー」、ニチバンの「セロテープ」などがそれだ。リーズナブルで品質がよく、認知度も高い。しかし、定番品「しか」ない、ということはまずない。カテゴリごとに何種類かのアイテムか並んでいるのが普通だ。

 なぜお店はそんなことをするのか? それは、アイテムごとに他にはない「特徴」「強み」があるからである。カッターナイフを例にとると。新聞紙など薄い紙を1枚だけ切り抜きたいのか、あるいは工作材料のような固いものを切りたいのかで、必要な刃の大きさやグリップの形状は違うだろう。求める用途や機能が違えば、最適な道具の提案も変わるのだ。この商品は隣の商品と何が違うのかな?と見比べて、お店の人の意図を推測するのもまた一興である。

 そこからさらに発展すると、想像は「客層」にも及ぶ。このお店はこの商品を、「誰」のために用意したのか。それは「立地」とも不可分だ。オフィス街のお店と小学校の前にあるお店では、中心的な客層は異なって当然である。となれば、お店の品ぞろえに求められる役割も変わってくる。

 オフィス街のお店なら、事務用品や伝票類を。デパートや高級ブランドが立ち並ぶオトナの街なら、高級筆記具や洒落たレターセットを。小学校の近くなら、子供の勉強道具を。休日に女子中高生が集まるバラエティショップなら、安くてかわいくてテンションがあがるアイテムを。専門学校や美大の多いエリアでは画材や工作材料が充実しているし、スーパーマーケットやコンビニの文具コーナーには、家庭で使うものや、緊急性の高いものが並んでいる。品ぞろえを通じて、お客さんとお店の交流が垣間見えるようで楽しい。

◆文具店、みんな違ってみんないい

 こうして目につく文房具店や売り場に片っ端から立ち寄る生活を続けていると、どのお店もみんなお客さんのために知恵を絞り、工夫をこらして特徴を出しているのがよくわかる。アレを買うならアノ店に行こうかな、と思い浮かぶお店は、やっぱりいいお店だと思う。

 私は旅先や出張先でもよく文房具店を訪れるが、この場合は「定番品」のポジションが地域によって変わるのがおもしろい。例えば、関東では消しゴムといえばトンボ鉛筆の「MONO」だが、関西ではシードの「レーダー」が強かったりする。東西で違うのは出汁や味噌ばかりではないのだ。

 これを読んでひさしぶりに文房具店に足を運んでみようかな、と思われた方。あなたは実に幸運だ。なぜなら、今は文房具が最も「旬」を迎える季節だから。4月は新年度、新学期が重なり、文房具が一年でいちばん売れる時期である。文房具メーカーはこの機を逃すまいと、気合いを入れて新商品をどしどし投入してくる。お店もかき入れ時で活気づいている。いつ行っても楽しい文房具店だが、この時期はまたいっそう格別なのだ。

 そんな話をしていたら、私もまた文房具店に行きたくなってきた。まだ当面のストックはあるが、ボールペンの替え芯でも買いに行こうかな。いや実は、昨日も行ってきたばかりなのだけど。

ヨシムラマリ
1983年生まれ、神奈川県出身。会社員として働くかたわら、イラスト制作を手がける。日常の「あっ」という瞬間をイラストと文章で切り取るブログ「コロメガネ」を運営。また、文房具マニアとしてワークショップ、イベントでも活動中。

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《ヨシムラマリ》

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