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ミュージシャンのお道具箱(その3)~INSPi北の音楽的文房具「先生の赤ペン」~

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息子のテストの採点もきっとあのペンだと思われます
息子のテストの採点もきっとあのペンだと思われます 全 5 枚 拡大写真
 先生の赤い採点ペン。テスト用紙の上をシャッシャッと軽快な音を立てて滑っていくペンを憧れのまなざしで眺めていた子供のころ。どの先生もほとんど同じ赤い胴軸に黒いキャップのペンを使っていた記憶があります。

 先生にとっては、学校から支給されているペンを使っているだけのことだったのかもしれません。しかし、学校に持っていく筆記用具として、鉛筆と赤鉛筆しか持つことを許されていなかった小学生の時の自分にとっては、先生の赤いペンは大人のしるしでした。

 小中高と学校を卒業し大学入学、そして歌うために中退。自分で稼ぐようになって、文房具だって選び放題の状況になっても、先生の赤ペンだけはなかなか手に取れませんでした。パッケージにでかでかと「採点ペン」と書いてあることもあり、採点以外に使ってはいけないような気分と、「これはちゃんとした大人が使うものなのだ」という勝手な思い込みとが入り混じり、欲しいとは思っているのに文房具店でもそこだけ見ないふり。

 実は知ってるんです、プラチナの「ソフトペン」だってことは重々承知の上で見ないふりしてきたんです。

 しかし、ついに僕が先生の赤ペンを手にするときがやってきます。中学校の同窓会に当時の担任の先生もご参加くださるということで、事前に連絡を取ってみました。僕らを受け持っていた当時は若手だった先生も、今では校長先生になられていました。「同窓会の時に、今先生が使っている筆記用具を見せていただけませんか?」という変な依頼に快諾いただいて、ついに先生の赤ペンとご対面です。

 「校長になると、採点はほとんどしませんね。賞状や手紙を書くことが多くなるので、今使うのはもっぱら筆ペンです。」とのことでした。当たり前ですが、仕事の内容によって使う文房具も変わっていくのですね。引き出しの隅に転がっていたという赤ペンも持ってきてくださいました。僕の思っていたのと少しタイプの違うスケルトンな見た目の赤ペンですが、紙の上を駆けていくシャッシャッという音は先生の赤ペンそのもの。

 「わーこれこれ!!」とワクワクしながら触っていると、「使ってないし、あげる」となんともフランクなお言葉をいただき、ありがたく頂戴することにしました。僕は採点をしませんので、このペンには取り急ぎ曲のキーを目立たせる役割を担ってもらうことにしました。

 音楽を作る時、採点できるような正しい答えはなかなか見つからないし、そんなものはもしかしたら無いのかもしれません。年齢的には大人になった今でも、迷い悩みの連続の末に音楽を作っています。だけど、先生のくれた赤ペンのシュッシュッという音は、なんらかの判断を下さなければならない時に、きっと助けになってくれるはずです。なぜなら、書いていてとても気持ちの良い音ですから。

INSPi 北剛彦
アカペラグループ「INSPi(インスピ)」のVocal担当。文房具好き。出身地である静岡県磐田の「いわた茶PR大使」を務める。 / INSPi:2001年フジテレビ「ハモネプ」出演がきっかけとなりメジャーデビュー。2005年2月より日立CMソング「この木なんの木」を担当。

《INSPi 北剛彦》

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