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ミュージシャンのお道具箱(その4)~INSPi北の音楽的文房具「ステージで使う文房具」~

このコラムでは、わたくしINSPi・北が、ミュージシャンのお道具箱に入れるにふさわしい文房具たちを、ひとつずつ選りすぐっていく様をご覧に入れていきます。今回取り上げるのは、アカペラの曲の始まる前にプーっと吹いている“あの”道具です。

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曲おわりでアピールしている右手の中をご覧ください。次の曲の為に、すでにピッチパイプを手にしていますね。普段はスーツの右ポケットかパンツの後右ポケットが定位置です。(マイクを左手で持つため)
曲おわりでアピールしている右手の中をご覧ください。次の曲の為に、すでにピッチパイプを手にしていますね。普段はスーツの右ポケットかパンツの後右ポケットが定位置です。(マイクを左手で持つため) 全 5 枚 拡大写真
 コラム連載4回目にして改めてになりますが、僕はアカペラグループINSPi(日立CMこの木なんの木担当中)のメンバーの一人です。演奏形態はアカペラ。楽器を使わず声を合わせることだけで楽曲を作っていきます。アカペラは正式にはア・カペラ(A Cappella)と表記し、意味としては「教会風の(に)」という意味を持つ単語ですが、転じて教会音楽に限らず無伴奏の重唱・合唱を表す言葉となりました。

 「アカペラをやってます」と自己紹介すると、「あ、ゴスペルね!」という言葉が返ってくることが結構な頻度であるのですが、ゴスペルの方がまさに「教会音楽」であって、無伴奏という制約は特にない演奏形態です。それぞれの言葉の生まれた背景、音楽的ルーツなどをお話ししていると、文房具の話がちっとも出てこない文房具コラムになってしまいますので、興味のある方は調べてみてくださいね。

 さて、アカペラという演奏形態の僕たちのステージをご覧になったことがある方は、ステージの最中にとっても気になる場面に出くわすはずです。それは「音取り」の瞬間です。曲の始まる直前、僕がスーツのポケットから何かを取り出して口にくわえて「プー」と鳴らす。カウント、そして曲が始まります。無伴奏ですから、曲のイントロから声だけで表現しなければなりません。INSPiは全員が絶対音感を持っていませんので、キーとなる音を演奏前にメンバーで共有するために、その一手間が必要なのです。

 初めてステージをご覧になった方に感想を聞くと「曲の始まる前にプーっと吹いてたのは何ですか?」と聞かれることが多々あります。これは「ピッチパイプ」という道具です。下のミの音から半音ずつ(ピアノの鍵盤でいうと黒鍵も含めて右隣に一つずつ)音が並び、上のミまでの13音を鳴らすことのできる楽器です。
音の劣化と音名のプリントが剥げてしまうので、定期的に買い替えます
 日本の楽器店では、トンボ楽器製作所(調べましたが、トンボ鉛筆とは関係が無いそうです。惜しい!)の作るこのタイプのピッチパイプが置いてあることがほとんどです。どこの楽器屋さんでも大抵一つは在庫してくれていますので、旅先で調子が悪くなっても(ピッチパイプは和名で調子笛とも呼びます)近くの楽器屋さんに本番前に駆け込んで事なきを得た事は数知れません。 というかデビュー以来16年、旅先でしかピッチパイプを新調してない気がします。

 ステージで使う道具は基本的にはこれだけです。マイクとそれに関わる音響も大事な相棒ではありますが、音が届く・届かない問題を別にするのであれば、マイクはなくても演奏自体はできます。

 道具全般に言える事なのですが、仕事あるいは勉強の場において文房具そのものが主役になる事ってあまり無いですよね。その文房具を使って何をしたか、何を作ったのか。人に見られて評価される部分はいつだって結果です。だからこそ、その結果を作り出す文房具や道具たちの話を僕は聞きたいし、お話ししたいと思って今回は自分の使っている道具を紹介しました。僕はピッチパイプをこれから「文房具」と呼びたいと思います。

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INSPi 北剛彦
アカペラグループ「INSPi(インスピ)」のVocal担当。文房具好き。出身地である静岡県磐田の「いわた茶PR大使」を務める。 / INSPi:2001年フジテレビ「ハモネプ」出演がきっかけとなりメジャーデビュー。2005年2月より日立CMソング「この木なんの木」を担当。

《INSPi 北剛彦》

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