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【我喜愛的文具店(私の好きな文具店)香港編7】湾仔へのこだわり

香港最古の繁華街の一つである湾仔(ワンチャイ)にある巨大な緑の看板と広い店内。独自のこだわりと自信に満ち溢れたまさに香港を代表する書籍・文具店である天地図書を、今回はご紹介したいと思います。

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香港の文化発信の中心、湾仔。香港らしい街並みのトラム線路沿いにある天地図書。
香港の文化発信の中心、湾仔。香港らしい街並みのトラム線路沿いにある天地図書。 全 17 枚 拡大写真
 香港最古の繁華街の一つである湾仔(ワンチャイ)の、路面電車(トラム)沿いにある巨大な緑の看板と広い店内。他店とは違う大人な雰囲気の奥に、独自のこだわりと自信があることを今回の取材を通して知りました。まさに香港を代表する書籍・文具店である天地図書を、今回はご紹介したいと思います。

 私が「香港で大きな文具店はどこ?」と聞かれた時に思いつく店の一つが天地図書です。香港島を東西に走るトラムの線路がある荘士頓道(Johnston Road)沿い、質屋を改装したお洒落なカフェやショップが並ぶ香港らしい雰囲気の下町の、有名な広東料理レストラン福臨門の正面にそのお店はあります。

有名な広東料理レストラン福臨門の対面にあります。
 小さな入り口から階段を上がると、まずは長い通路の両端に洋書売り場が続きます。ところどころ小さなカウンターがあり、知的な雰囲気の店員さんが作業をしている風景に、天地図書の出版社としての顔が見える気がします。

 文具コーナーはこの通路の先の巨大なスペースにあります。黒い天井で照明を抑えた店内は四方の壁にずらっと棚が並び、中央には陳列棚が整然と並んでいます。棚の高さが低いため、売り場全体がどこからでも一望できます。レジの店員さんはシャツにベストというのも他店とは趣が異なり、どこか知的で高級感のある「大人の店」という雰囲気です。

店内中央のレジカウンター。レジ係の人もいつも知的な雰囲気です。
 文具の品ぞろえはオーソドックスですが、押さえるべきところは押さえられています。小さな店ではたくさん置けないファイル類や、画用紙などの美術用品の種類の豊富さは、行く価値あり。輸入品も多く取り揃えており、高級筆記具が置かれたショーケースがあるのも大人の印象を受ける要因の一つです。また、商品の入れ替わりが他店に比べると少ないため、買いたい商品が決まっている方には、安心感がある店とも言えます。とにかくゆったりとしたレイアウトのおかげで、落ち着いて買い物ができる点では、香港にある他の多くの文具店と異なる存在と言えるでしょう。

 1976年に生まれた天地図書は、創業以来ずっと同じ場所で営業しています。同業大手の他社と対照的に、多店舗展開も大資本への参加もしない独自のこだわりについて、副総経理のTerriさんが説明をしてくれました。何より印象的だったのは湾仔という街へのこだわり。

(左から)Terri董事副総経理、王店長、Shirleyさん。
(左から)Terri董事副総経理、王店長、Shirleyさん

「湾仔は知的な街であり、香港の文化発信の拠点です。」とTerriさんは言います。これまで私にとっての湾仔は、下町、市場、バーストリートといった印象でしたが、実は孫文にゆかりのある建物、歴史ある有名な学校や、香港を代表する芸術・文化の機関などが数多く存在し、香港の中でも教育水準が最も高い街の一つであることを知りました。

 また、この街には著名な作家も数多く住んでおり、彼らとともに香港の文化を守り・育て・発信することは、出版・書籍販売を生業とする天地図書にとっての責務であるという考えがTerriさんにはあります。そのために文化交流イベントやセミナーを主催したり、周囲の学校との共同プログラムを行うなど、店舗という場を生かした地域貢献により、天地図書は湾仔の街・人と良い関係を保っています。そうすることで結果的に街の人々に寄ってもらえる店になり、商売として帰ってくると考えているそうです。

 1つの店舗にすべてを注ぎ、チェーン店には真似のできない独自の存在となること。地域に貢献し、地域に支持される存在となること。文化発信という大きな使命を自覚し、香港そのものに対する役割を担おうとすること。天地図書の人々の芯の強い思想を知ることで、私がこれまで店舗で感じていた「大人の雰囲気」の原因が見えた気がしました。


【店舗情報】
天地圖書
香港灣仔莊士敦道30號地庫及一樓(MTR湾仔駅B1出口から徒歩5分)
B/F-1/F, 30 Johnston Rd, Wan Chai

【雲呑麺】コクヨ香港支店勤務のアラフォー日本人男性。以前は好きなローカル料理を聞かれると、迷わず雲呑麺と答えていた。駐在歴4年で広東料理の奥深さを知るにつれ、「好きなローカル料理は?」が、今となっては最も答えに困る質問となっている。雲呑麺
コクヨ香港支店勤務のアラフォー日本人男性。以前は好きなローカル料理を聞かれると、迷わず雲呑麺と答えていた。駐在歴4年で広東料理の奥深さを知るにつれ、「好きなローカル料理は?」が、今となっては最も答えに困る質問となっている。

《雲吞麺》

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