ペラリーマンと呼ばれるアーティスト
INSPiはメンバー6人それぞれが平日は別の仕事を持ちながら、土日にライブするという「ペラリーマン」スタイルで活動中です。アカペラ×サラリーマンの造語ですね。世の中をハモらせるため、ハーモニーを題材に企業や組織でワークショップなどを行いながら、NPO法人理事も務めるリーダー杉田。映像制作会社で働く大倉と渡辺。Little Glee Monsterのハーモニーディレクターやその他アカペラ指導者として活躍中の吉田。自身の闘病生活中に病院食に感銘を受け、管理栄養士資格取得をめざして在学中の奥村。
そして僕はといえば、当サイトの編集長として「まなぶ・はたらく」についてのニュースをお届けしています。それぞれの場所でがんばり、それをINSPiに持ち帰ってアカペラにして表現する。新しい時代のアーティストの形がここにあります。

おかげさまでデビュー17周年を迎えました。これだけの期間歌い続けていると、様々な変化を目の当たりにします。周りの環境は言わずもがな、自分たち自身の思いやライフスタイルも変わります。それでもこの先歌い続けたいね、そう言いあえるのは本当に幸せなことだと思います。
INSPiの活動は大まかにいうと、YouTube動画や音源などの作品作りと年2回のワンマンライブの2種類がメイン。作って出すそのサイクルを止めないために大事なことは「計画」です。
ライブができるまでの道
ライブをするために必要なことはなんでしょうか?アーティストとしてアカペラで伝えたい熱いメッセージはもちろん必要なのですが、何をさておいてもまずは「場所」です。事務的なことですみません。
INSPiのライブツアーは基本的に夏(7~8月)と冬(12月)の周期で開催しています。この季節はイベントがたくさん開催される季節。しかも土日となると会場押さえは争奪戦です。およそ1年前ぐらいには会場に問い合わせをかけておく必要があります。夢を実現するためにはまず現実から固めていく。会場が無事確保できたとき、そこから夢のライブへの道がはじまるのです。
次に必要なことはなんでしょうか?実を言うと、常に同時進行で進んでいきます。ライブのコンセプトを固めつつ、ツアーの各会場と公演詳細についてやりとりしながらタイムテーブルの作成。土日で行き帰り可能な新幹線の時間をチェックしとかなきゃ!
ツアーグッズ制作しようとなれば、デザインイメージ共有をしながら、実際の作業依頼をかける。メンバーそれぞれに忙しく働く合間を縫って、ミーティングやリハーサルスケジュール調整、調整、調整……INSPiのマネージメントも務める北はここには書ききれないほどの細かな作業が山積みです。
僕がそれを苦しいとも思わずノリノリで実行できるのは、自身の性格的なところも多分にあるとは思います。しかし、一番大きいのは僕自身が強く持っているINSPiへの期待と信頼。どんなことが起ころうとも歌い続けてきたINSPiには、それが確実に存在します。
自分たち自身からも、応援してくださるファンの皆様からもそれを強く感じているので、僕はそれに応えたい!と毎日ちょこまかと動き回っているのです。
年間計画ミーティング
ペラリーマンなINSPiの活動で大事なのが、月単位ごとの大まかなスケジュール管理です。この月に〇〇をするとしたら、準備にはこれぐらいの期間がかかって、じゃあここまでにこれをしようとか、これとこれはつなげられそうだねとか、この月は個人的なスケジュールで忙しくなりそうだから避けたい、などを大まかに共有して物事を進めます。年始のミーティングでは、カレンダー1年分を机に広げてそれに付箋を張り付けていくスタイルでINSPiの活動を眺めてみました。

それぞれの仕事やライフスタイルを尊重しつつ、INSPiとしてやりたいこと、できることを探っていくミーティングは、とてもワクワクします。個人としての思いを声に出し、それをお互いによく聞く。そしてグループとしての思いにつなげまとめていく。ハーモニーを作るということは、きっとそういうことなのでしょう。

アカペラグループ「INSPi(インスピ)」のVocal担当。文房具好き。出身地である静岡県磐田の「いわた茶PR大使」を務める。 / INSPi:2001年フジテレビ「ハモネプ」出演がきっかけとなりメジャーデビュー。2005年2月より日立CMソング「この木なんの木」を担当。